Mili × 塞壬唱片-MSR - TIE HUA FEI(铁花飞) 歌詞 ( Lyrics)「和訳対照」

歌曲紹介

2026年2月9日、人気スマホゲーム『アークナイツ(明日方舟)』の公式音楽レーベル・塞壬唱片-MSRより、Miliの最新EP「TIE HUA FEI(鉄花飛)」がリリースされた。これは2024年の「Grown-up's Paradise」に続く、Miliとアークナイツの二度目の公式コラボレーションである。

今回の楽曲は、同ゲームにおいて初の二重異格(デュアルアルター)を持つキャラクター「焔影レン(陈)」の最新形態「赤刃明霄 陈(Ch'en the Dawnstreak)」をテーマとしたキャラクターイメージソングとして位置づけられている。
制作陣はMiliの核となるCassie Wei(ボーカル・作詞)とYamato Kasai(作曲・ギター)に加え、ミックスは米田哲が担当。クラシカルなピアノフレーズとエレクトロニックなビート、そして葛西大和の繊細なギターワークが融合した、Mili特有の叙情的なサウンドスケープが展開される。
タイトルの「鉄花飛」は、中国の伝統的な民俗芸能「打鉄花(ダテッカ)」に由来する—溶けた鉄の溶液を打ち上げ、夜空に一瞬の花火を咲かせるその芸は、美しさと危険性、そして儚さを内包している。アルバムに添えられた文案「軽云淡月、天地は鏡の如し。鉄花千縷飛んで雨のごとし、山河万里歌を踏む人」は、まさにその儚く壮絶な美意識を体現している。

歌詞対照

A frozen breath
凍りついた息

A calloused hand
タコのできた手

Walking through a peaceful neighborhood
穏やかな街を歩く

Isn't it beautiful?
こんなに美しいのに

Such a beautiful
なんて美しい

Such a beautiful vibrancy
なんて美しい活気

I am alright
大丈夫 僕は大丈夫

I am content
心が満たされている

Looking through an old kaleidoscope
古い万華鏡を覗きながら

Isn't it laughable?
おかしいと思わない?

The pain we held close
抱え込んでいた痛みが

Dissolves into smoke readily
するりと煙に消えていく

 

As I'm finally on the receiving side of misfortune
ついに僕が不幸を受ける側になって

I can see your reasons
君の理由が見えてきた

And your clingy demons
執着する悪魔たちも

Like a rotten mandarin
腐ったみかんのように

Inside, we had good intentions
中身は 私たち善意だった

I may be still unripened
まだ未熟かもしれないけど

But I'm not afraid
怖くはない

 

在这一刻,我的心平静如水
今 この瞬間 心は水のように穏やか

没有谁能迫我退悔
誰も僕を後悔させられない

四面楚歌,这颗心无惧无畏
四面楚歌でも この心は恐れを知らない

铁花飞,飘逸不残灰
鉄の花舞い 舞い上がり灰も残さない

 

千年之后还剩下什么?
千年後に 何が残るだろう?

灵魂的重量又怎能取舍
魂の重さを どう選べばいいの

有共存才有未来可说
共に生きてこそ 未来が語れる

不一定牵着手
手を繋いでいなくても

但一定永远向前走
必ず ずっと前へ進む

正确了又能证明什么?
正しかったとして 何が証明できる?

就算能从过去找出差错
過去から過ちを見つけたとしても

身世境遇不由人选择
生まれや境遇は 選べないもの

有理解就足够
理解があれば それで十分

盼日夜细水长流
朝晩 穏やかに 長く続くことを願う

 

Let our memories unite
僕たちの想い出をひとつにしよう

Then maybe we'll see a new sight
そしたら きっと新しい景色が見える

Yes we're both right
そう 二人とも正しい

I know we're both right
二人とも正しいって 分かってる

In the tiny birdcage we divide
小さな鳥籠の中で 分かち合いながら

 

Seeing the world with my own eyes
自分の目で世界を見て

And for a minute I was embarrassed by my short insight
一瞬 自分の浅はかさに恥ずかしくなった

All this time I was so focused on myself
ずっと自分のことばかり見ていた

Making sure this strongest strongest woman was all they saw
誰もが一番強い女だと思うように

Right?
そうだよね?

 

小时候只是服从
子供の頃はただ従うだけだった

成长过程中开始疑问
成長し 疑問を持ち始めた

为什么你不再是我印象中那样完美无缺?
なぜ君は 記憶のように完璧じゃなくなったの?

长大后终于理解
大人になって やっと理解した

逞强也是一种爱的表现
強がることも 愛の表れなのだと

呵,原谅你,也原谅我自己
ふぅ 君を許し 自分も許す

 

在这一刻,我的心平静如水
今 この瞬間 心は水のように穏やか

没有谁能迫我退悔
誰も僕を後悔させられない

四面楚歌,这颗心无惧无畏
四面楚歌でも この心は恐れを知らない

铁花飞,飘逸不残灰
鉄の花舞い 舞い上がり灰も残さない

 

千年之后还剩下什么?
千年後に 何が残るだろう?

灵魂的重量又怎能取舍
魂の重さを どう選べばいいの

有共存才有未来可说
共に生きてこそ 未来が語れる

从此不再寂寞,因为这间心房已解锁
もう寂しくない この心の部屋が解かれたから

正确了又能证明什么?
正しかったとして 何が証明できる?

就算能从过去找出差错
過去から過ちを見つけたとしても

身世境遇不由人选择
生まれや境遇は 選べないもの

有理解就足够
理解があれば それで十分

盼日夜细水长流
朝晩 穏やかに 長く続くことを願う

 

歌詞意味

「鉄花」に込められた一瞬の美学
「鉄花飛、飘逸不残灰(鉄花飛び、灰を残さずに飘逸す)」というフレーズは、本曲の核心的なイメージである。打ち上げられた鉄の花は、夜空で一瞬の輝きを放ちながら、灰すら残さず消えていく—この儚さこそが、武士道的な「瞬间美学」を想起させる。
キャラクター「陈」のスキルエフェクト(赤い刀光が鉄の花のように飛び散るビジュアル)と重なり合うこの表現は、単なる戦闘的な美しさではなく、「後悔のない決断」を意味している。親子の関係における和解も、またそのような一瞬の閃光のようなものであり、灰(後悔)を残さず、ただ美しく関係性を完結させることを目指しているのだ。
世代間の葛藤と再評価
歌詞は英語のヴァースと中国語のサビという二層構造を採用し、思考の二段階プロセス—冷静的な内省から情熱的な感情の決断へ—を音響的に表現している。
第一ヴァースの英語パート「As I'm finally on the receiving side of misfortune / I can see your reasons / And your clingy demons」では、不運を受ける側になって初めて母親の「理由」と「執着する悪魔」が見えたという、立場の転換による理解が描かれる。
対照的に中国語のパート「小时候只是服从 / 成长过程中开始疑问 / 为什么你不再是我印象中那样完美无缺?」では、子供時代の絶対的な崇拝から、青春期の幻滅へと移行する過程が綴られる。そして「长大后终于理解 / 逞强也是一种爱的表现」というフレーズで、母親の「強がり」が実は愛の表現であったという東アジア的な親子関係の転回が提示される。
「正しさ」の超越
サビの「正确了又能证明什么?(正しくたって何を証明できる?)」という問いかけは、家族関係における「正義」の無力性を突きつける。単純な二元論では測れない人間関係の複雑さを認め、代わりに「有理解就足够(理解があれば十分)」という受容の倫理を提唱している。
「不一定牵着手 / 但一定永远向前走」という表現も象徴的である。形としての和解(手を握る)よりも、それぞれが独立したまま同じ方向を向く—そんな大人の関係性の構築を目指している。

まとめ

「TIE HUA FEI」は、Miliがアークナイツのために提供した、単なるキャラクターソングを超えた一つの完成された叙事詩である。打ち上げ花火のように儚く美しい「鉄花」をモチーフに、親子の世代間トラウマとその和解を描き出している。
Cassieの声は、内省的な囁きから力強い宣言まで幅広く移行し、葛西大和のギターが織りなすジャズ的なコード進行と共に、聴き手に複合的な感情的体験を提供する。特に「原谅你、也原谅我自己(あなたを許し、自分も許す)」という最終的な一文は、この楽曲が復讐や対立の物語ではなく、自己受容と他者理解の物語であることを明確にする。
鉄の花が空に舞い、灰を残さず消えていくように—この曲は、関係性の中の「無念さ」を解き放つための音楽的儀式となっている。ゲーム内のキャラクターのみならず、東アジア的な家族観と向き合う多くの聴き手にとって、この「鉄花飛」は一筋の光を投げかける作品である。