澤野弘之 - AVALONIAN 歌詞 ( Lyrics)「和訳対照」

歌曲紹介

「AVALONIAN」は、作曲家・澤野弘之が手掛けるTVアニメ『Fate/strange Fake』の劇伴楽曲の一つ。2026年2月8日に『Fate/strange Fake Original Soundtrack』から先行配信された本作は、作詞にBenjamin、編曲に澤野弘之、プロデュースに片岡裕貴を迎えた重量級コラボレーションにより生み出されている。
本作の舞台はアメリカ合衆国に召喚された「偽りの聖杯戦争」。数多のサーヴァントが入り乱れる中、この楽曲は特に「Archer」クラスのギルガメッシュ、あるいは「Saber」クラスのリチャード獅子心王と深く結びついたテーマとして書き下ろされたと考えられる。楽曲は2分14秒というコンパクトな構成ながら、澤野特有の重厚なオーケストレーションと、Benjaminの詩的で感情的な英語詞が融合し、英霊たちの「忠誠」と「背徳」、「栄光」と「喪失」の相克を描き出している。

タイトル「AVALONIAN(アヴァロニアン)」は、理想郷アヴァロンにまつわる者、あるいはアヴァロンそのものを指す言葉。聖杯戦争という現代の狂気の中で、過去の英雄たちが抱く「理想郷」への憧憬と、そこへの到達を諦めきれない想いが込められている。

歌詞

In my dreams I catch your eye
夢の中で 君の視線を捕まえる

And it's strange to see me shy
自分が照れているなんて 不思議な感じ

I strung my guitar beside the sea
海辺でギターを弾いた

My brother lied to guide me
兄(弟)は僕を導くために嘘をついた

Couldn't betray your will but tried
君の意志を裏切れない でも僕は挑んだ

Trapped out I stayed by your side
閉じ込められて それでも君のそばにいた

Now when I see the setting sun
今 夕日を見るたび

I picture you there and never run
君の姿を思い浮かべ 決して逃げない

There's got enough disgrace
もう十分に 情けないことばかり

I can still remember the taste
その味は今でも覚えている

They call me the lie and now I'm worn
奴らは僕を嘘つきと呼び もう疲れ果てた

So many a time I assume
何度も 僕は思い込んでしまう

Couldn't betray your will but tried
君の意志を裏切れない でも僕は挑んだ

Trapped out I stayed by your side
閉じ込められて それでも君のそばにいた

Now when I see the setting sun
今 夕日を見るたび

I picture you there and never run
君の姿を思い浮かべ 決して逃げない

I'll die defending your glory
君の栄光のためなら 死ねる

Your shiver is not a story
君の震えは 作り話じゃない

I'll die defending your glory
君の栄光のためなら 死ねる

Your shiver is not a story
君の震えは 作り話じゃない

Couldn't betray your will but tried
君の意志を裏切れない でも僕は挑んだ

Trapped out I stayed by your side
閉じ込められて それでも君のそばにいた

Now when I see the setting sun
今 夕日を見るたび

I picture you there and never run
君の姿を思い浮かべ 決して逃げない

I'll die defending your glory
君の栄光のためなら 死ねる

Your shiver is not a story
君の震えは 作り話じゃない

I'll die defending your glory
君の栄光のためなら 死ねる

Your shiver is not a story
君の震えは 作り話じゃない

歌詞意味

「夢と現の狭間で見る主」
冒頭の「In my dreams I catch your eye / And it's strange to see me shy」は、英霊として召喚された者の視点から描かれている。普段は傲岸不遜な英雄が、夢の中ではかつての主(マスター、あるいは生前の王)の前で「shy(内気)」になるという対比は、絶対的な忠誠心の裏に潜む「人間的な畏敬」を示唆している。
「I strung my guitar beside the sea」というモダンなイメージは、古代の英雄が現代に召喚され、海辺でギターを奏でるという非日常的な情景を想起させる。これは『Fate/strange Fake』におけるギルガメッシュ(Archer)が現代のスノウフィールドに降り立ち、かつての友人エルキドゥ(Enkidu)の記憶と重ね合わせながら、あるいはその存在を探して佇む姿を映し出している可能性がある。
「偽りの導きと真実の忠誠」
「My brother lied to guide me」は、この楽曲の核心を突くフレーズである。「兄弟」は生前の親友—エルキドゥを指すと考えられ、彼はギルガメッシュにとって「半身」であり「鏡」であった。エルキドゥはギルガメッシュの「暴れん坊」な王を正すために神々から遣わされた存在であり、ある種「偽り(lie)」を持って王の前に現れた。しかしその結果、二人は永遠の友となり、王は人間性を得た。
「Couldn't betray your will but tried」は、この複雑な関係性を表現している。「お前の意志を裏切れなかった、しかし試みた」—これはエルキドゥの視点から見た、神々の命と友情の間で揺れた心境を示唆している。あるいは、ギルガメッシュ自身が、かつての友の死を受け入れ、不死の探求(栄光の守護)を決意した際の「自分自身への裏切り」を意味しているのかもしれない。
「落日と記憶の味」
「Now when I see the setting sun / I picture you there and never run」は、英雄的な決意の象徴である。落日は「終焉」と「栄光の黄昏」を意味し、それを見る度に「お前の姿を思い描き、決して逃げない」と誓う姿勢は、聖杯戦争におけるサーヴァントの運命—消滅を覚悟で主(あるいは理想)を守る騎士道精神を体現している。
「There's got enough disgrace / I can still remember the taste」は、英霊としての過去の敗北や恥辱を「味」として記憶している表現。ギルガメッシュがかつての聖杯戦争(『Fate/stay night』等)での敗北を経験しながらも、その「味」(苦渋さ)を糧に今度こそ「お前の栄光」を守ると決意する心境が読み取れる。
「栄光の防衛と真実の戦慄」
サビの「I'll die defending your glory / Your shiver is not a story」は、単なる忠誠の誓いを超えた、深い愛着の表れである。「お前の戦慄(shiver)は物語(虚構)ではない」—これは、偉大な王であっても、英雄であっても、人間である以上「恐れ」を抱えることを知っている者だけが言える言葉。王の人間性を見抜きながら、それでも「お前の栄光のために死ぬ」と誓う。この主体と対象の関係性は、マスターとサーヴァント、あるいはギルガメッシュとエルキドゥの双方向的な絆を想起させる。
「They call me the lie and now I'm worn」—「彼らは私を偽りと呼び、今では私は消耗している」。英霊として召喚され、本来の全盛期ではない「偽りの身」で戦う苦悩と、長き時を生きた(あるいは死後の存在として在り続けた)疲れが滲み出ている。

まとめ

「AVALONIAN」は、『Fate/strange Fake』における「偽りの聖杯戦争」の核心—「本物と偽物の境界」—を音楽化した一曲である。Benjaminの詩的な歌詞は、ギルガメッシュとエルキドゥの「天地創世の物語」における永遠の友情を、現代のスノウフィールドという舞台で再び問い直している。
澤野弘之の重低音とストリングスが織り成すサウンドスケープは、英雄たちの「誇り」と「孤独」を表現しており、特に繰り返される「I'll die defending your glory」は、単なる戦闘のテーマを超えて、英霊としての存在意義—すなわち「誰かのために消え去ることの美しさ」を讃える讃美歌となっている。
本作のサウンドトラックは2026年4月1日に発売され、全22曲が収録される。「AVALONIAN」はその中で特に感情的な深みを持つ一曲として、Fateシリーズファンにとっても、澤野弘之の音楽を愛する者にとっても、何度も繰り返し聴きたくなる珠玉の劇伴楽曲である。